■LIVE■

★復活してから、精力的にライブを行なっていますけれど、手応えはどうですか?
復活前と比べて変化した部分があるとすれば、どんなところですか?
ISSAY 「感触はやればやるほど良くなってきてるね。お客さんもどんどん暴力的になってきてるし」
TATSUYA「このあいだ・・2月6日のQueでやっと馴染んできたっていうか、コイツが全編を通して、ハムレットの顔で歌ってるなと思った。それまでは、前のバンドをひきずってる部分があったと思うんだけど、あのときのコイツはすごく良かった。まぁ、俺がダメだったって言うのもあるんだけど」

★そうは思えなかったけど。
TATSUYA「意識朦朧としてたからね」
ISSAY 「良かったって噂は聞くけどね」
TATSUYA「記憶がないんだよ(笑)」
ISSAY 「単純に言えば、身体の中に音が入ってきたっていうのがあって、ガ−ンと音を出したときにハムレット・マシ−ンになってるっていう。最初のうちは計算したり、“ここでこういうフレ−ズを弾こう”とか“こう歌おう”っていうのがあったと思うんだけど、頭を使わず身体が勝手に動く感じにはなってると思う」
TATSUYA「最初の頃は、はしばしに華麗なアクションが残ってたから(笑)」
ISSAY 「人間が華麗だから、仕方ない(笑)」
TATSUYA「2月6日のライブで、コイツがひっくり返ってヒクヒクしている場面があって」
ISSAY 「(笑)」

★へえ。それは見えなかったです。覚えてるんですか?
ISSAY 「天井見てたのは覚えてる(笑)」
TATSUYA「ひきつけ起こしてるみたいになってて、カッコいいなって。それを見てカッコいいと思う俺もどうかと思うんだけど(笑)」
ISSAY 「きっと神様が降りてきてくれたんだ(笑)」
TATSUYA「胎児の形になって、瞳孔開いてたからね。ついにここまで来たかって(笑)。でも、もともとハムレット・マシ−ンってそういうバンドだから、好き放題やれるようになってるんだと思う」

★2人にとってライブならではの快感って?
ISSAY「スリリングさじゃないかな。ライブは表現したことに対して、反応がダイレクトに返ってくるでしょ? 自分たちにとっても、見ている人たちにとっても次に何が起こるかわからないスリルがあるよね。ステ−ジに立っている人間と客席にいる人間って、エネルギ−を交換しあって、お互いに増幅させていくところがあるから。とにかく増幅させるのが僕のやり方」

★冷静な状態だと面白くない?
ISSAY「いや、楽しむ術は知ってるから面白くないとは思わないけど、ある種の冷静さも必要ではあるんだよね。最初からぶっとんでると、話にならないから、最終的にそこに持っていくためにどうするかっていう・・。ステ−ジに立っているときには頭上1メ−トルぐらいのところに、もうひとりの自分がいるとは思うんだけど」

★客観視している自分ということですか?
ISSAY「客観っていうか、見てるっていうか」
TATSUYA「ひきつけ起こしてるときは見てないんじゃないかと思うけどね(笑)」

★ダイブしているときも見ていないのでは?
ISSAY「(笑)そういうときは、もうひとりの自分もその場にいる人たちの意識や感情も全部ひとつになっちゃってるんだと思う」
TATSUYA「生きている中で、ライブみたいに雑念のない時間っていうのは、そうそう経験できないと思うんだよね。どんなに集中していても、ふだんは絶え間なくいろんな考えが入ってくるけど、ステ−ジに立っているときは何も考えてない。それが俺にとっての魅力かな」

★復活後のハムレットのステ−ジングは、2人のあおり方も以前より攻撃的になっていると感じますが。
ISSAY「(笑)」
TATSUYA「それは個人的なところで言えば、以前はALLNUDEのボ−カリストでありながら、ハムレット・マシ−ンではギタリストだったから、意識的に一歩退いたところに自分の身を置いていたんだと思う。2人ともボ−カリスト的な動きをしたら、散漫になると思ってたから・・。今はボ−カリストがギタ−を弾いてるっていう意識はないから、あおって叫んだとしても、それはギタリストの叫びであって散漫にはならない。そういう意識の違いが影響してるんだと思う」

★ライブが終わった直後はどんな気分なんですか?
TATSUYA「何もない。空っぽ」
ISSAY「宙空の一点を見てボ−ッとしてる」
TATSUYA「オマエはライブの最中でもそうだろ?(笑)」
ISSAY「あれは天使が僕の身体を通過してるんだよ(笑)」

★オ−ディエンスにのぞむことはありますか?
ISSAY「いや、楽しんでくれればいい」
TATSUYA「自分たちを解放してくれれば」

★これだけはやめてくれとかは?
ISSAY「ギタ−弾いてるときにギタ−を奪おうとするなとか、あるんじゃない?(笑)」
TATSUYA「(笑)だから、前に出ていくと俺のギタ−・ソロはことごとく粉砕する。あとは皮パンの中に手が入ってきたり(笑)」
ISSAY「別にやめなくたっていいよ。好きなだけやればいい(笑)」
TATSUYA「でも、楽屋から帰ってきて、ファスナ−が半分下がったりしてると“アブなかったな”って(笑)」

★ダイブするときに逃げるなとかは?(笑)。
ISSAY「ない。飛び込む危険性のある人間なんだから、支えられない人は前に来ないでって(笑)」
TATSUYA「キミらがケガすると大変だからって」
ISSAY「そう。自分の身は自分で守ってほしい。それがいちばんの願いかな」

★イベントとワンマンの心構えの違いは? 共演するバンドへの対抗意識とか?
ISSAY「対抗意識とか持たないよね」
TATSUYA「ないね。全然」

★最近はイベントに多く出演してますね。
ISSAY「復活してからは、おかげさまでやたら誘ってもらえるもので」
TATSUYA「対バンが面白いとやってて楽しい。このあいだのLoopusも一緒にやって楽しかったし」

★ハムレットを知らない人たちの前で演奏するのは?
ISSAY「それはそれで楽しいね」
TATSUYA「うん。“俺たち、人気ねえぞ”って言いながら出ていくのも楽しいから」
ISSAY「(笑)そう、そう。“どうやって驚かそうか”って言いながら」
TATSUYA「俺たち、悪者だから。もてなしがいいほうじゃないしさ」
ISSAY「決してフレンドリ−じゃない」
TATSUYA「俺たち自身はフレンドリ−なつもりなんだけど、気づいてもらえない(笑)」
ISSAY「本当はフレンドリ−なのに。冗談言っても気づいてもらえないかわいそうな人間がボ−カルだし(笑)」

★こういうバンドと共演したいっていうのは?
ISSAY「イキのいいバンドかな。ロックなんだから、テクニックなんてなくていいんだよ。やりたいことがハッキリしてて、気合いが入ってればいい」
TATSUYA「要はパワ−持ってるバンドだね」

★曲をつくるときはライブを念頭に置きますか?
ISSAY「僕はそうだね。歌詞はまたちょっと違うけれど、曲に関しては原曲をTATSUYAに渡して、アレンジしたときに、みんなが喜んでいる姿が思い浮かぶかどうかだから。イベントで初めて見た男のコが唖然として見てる姿が浮かんだから楽しいとかね。TATSUYAはまた違うかもしれないけど」
TATSUYA「俺はライブでもレコ−ディングでも基本的に同じデ−タを使うつもりだから、両方を考えるけど、基本はやっぱりライブだね」

★ビ−ト感だったり?
TATSUYA「そうだね」
ISSAY「また彼がつくる音は緻密だから」
TATSUYA「その緻密さは、のちに音源になったときにわかればいいと思ってはいるけど」

★ライブでの手応えを感じている曲は?
ISSAY「う−ん、『白い太陽』に関しては、その前後と反応が変わるのがわかるから、これはビシッと届く曲なんだなって。“また名曲ができちゃった”って」
TATSUYA「はははは」

★サウンドのノリだと『TRASH PLANET』や『TRANCE-MISSION』はライブ向きですよね。
ISSAY「うん。あの2曲はアレンジの原型が出来たときにみんなが狂喜乱舞する姿が浮かぶって盛り上がった。ただ、復活前の感覚で見に来てる人も多いから、だいぶノリが違って感じた人もいたんじゃないかと思う。昔の曲に関しても、だいぶアレンジを手直ししてるから、変わってるし」
TATSUYA「俺は個人的には『BLACK RAIN』はアレンジを変えることによって、あの曲がもともと持っていたリリシズムやセンチメンタリズムもふくめて歌を前に出すことに成功したと思う。以前のアレンジだと曲の世界観を出しきれてなかったと思うんだけど、詞や歌がより伝わるようになったと思う」

★ところで、さっき名曲だっていう話が出ましたけど、「白い太陽」はどんなときに出来た曲?
ISSAY「TATSUYAの家に行ったときに“こういう曲があるんだけど”ってギタ−を弾いて彼が歌い出して、“これはいい曲だな”って。詞も、その場でイメ−ジがすぐに湧いたから、TATSUYAに“こういう詞にしようかと思う”って伝えた。そこで共通の意識が生まれたので、次に家に行ったときには詞も完成してたし、アレンジも出来かけていて、楽曲がひと方向に流れていったんだ」
TATSUYA「コイツはドライブのきいたR&R色の強い曲をつくるから、歌ものは俺がつくろうかなって。ハムレットを始めた最初の頃から、そういう意識はあったね」
ISSAY「非常にTATSUYAらしいメロディだと思った。で、詞を書いているときに、TATSUYAの顔と自分が歌っている姿が浮かんだので、今まで自分が書いてきた詞とちょっと方法論を変えて、彼が書きそうなスタンスで書いてみようって。僕がTATSUYAだったら、どういう詞を書くんだろうっていうところで書いていって、完成するまでに1時間もかからなかったね」
TATSUYA「曲も出来上がるまで、わりに早かったね」

★そういう詞の作り方は初の試み?
ISSAY「そうだね」

★2人でやることの面白さですね。
ISSAY「うん。TATSUYAだったら・・って誤解して書いてるかもしれないけど」
TATSUYA「いや、正しいと思うよ。『白い太陽』は俺節かもしれないけど、俺もISSAYが歌うことを前提として曲をつくってるところはある」

★今はライブ中心の活動で、音源を出してほしいという声も多いと思うんですけど。
ISSAY「そこら中の人に言われます。いや、つくりたいし、今年はつくろうかっていう話はしてます。どういう形になるかはまだわからないけど、10年もやってるのに1枚も音源を出してないっていうのは珍しいからね(笑)。21世紀になっちゃったけど、このへんで20世紀の総括をしておかないと(笑)」

★音源を出すとなると選曲も悩みそうですね。
ISSAY「全部、録っちゃえばいいんだよ(笑)」
TATSUYA「音源にするとなったら、ライブとはまた違う意味での攻撃性を出したいね」
ISSAY「年に1〜2回しかライブをやらない七夕バンドと言われて久しいけど、復活してからは、どうもやる気はあるらしいぞということで(笑)」
(THE END)