『段取りと二倍速』


レジが二ヶ所あるコンビニで自分が並んだほうのレジの進み具合が遅いと「しまった!」と後悔してしまいます。しかし、なぜこれほどにも進み方に違いが出るのか?

よくよく観察していると、早く進んでいるほうのレジのお姉さんは行動のすべてが早い。はっきり言ってこちらの倍速です。もう「キュルキュル〜」って音が聞こえてきそうなほど。

すごいスピードでバーコードを通し、すごいスピードで袋に入れ、ふんだくるようにお金を受け取り、相手の手を掴んで確実に御釣りを握らせる、そのスピードと段取りの良さにはこれぞプロの妙技と感心させられてしまいます。

最近では自動改札に取って代わられてしまいましたけど、駅の改札でも早い切符きりの駅員さんがいたものです。もう、どのくらい早いかと言うと、人がいないときでも常に「カチャカチャカッチャン」とリズムを取りながらハサミを止めることがありません。切符を差し出すとそのリズミカルなハサミの間にちょっと差し込むだけでもう切れています。

ワープロなんかでもより多く文字を打てる人はキーボードも見ずにすごいスピードで「カタカタ」と打っていきます。

私も急いで仕事するときにはすごいスピードでマウスを操っていると自分では思っています。

つまり、半分の時間で終わらせるにはまずは段取り、そして倍のスピードで行動することです。

先日、仕事が忙しく数泊会社に泊まったことがありました。仕事が一段落した日、一時間半後に次の打ち合わせがあったんですけど、どうしてもお風呂に入りたい、それも湯船につかりたい.....私は急いで家に自転車を飛ばしました。

家に着くと残された時間は30分です。

まずはお風呂にお湯を入れだし、ついでに溜まった洗濯物を洗濯機に投げ込み「お急ぎモード」で回しはじめました。

一息つくと今度は空腹を感じ棚の中を物色した結果、緑のタヌキを発見。お湯をかけて4分です。速攻でお湯を沸かしだしました。

お湯が湧いたころには、もうあまり時間がないことに気がつきました。悠長に出来上がりを待っていては遅刻です。

私はまず服を脱ぎ、全裸のまま緑のタヌキにお湯を入れ、そのまま風呂へ駆け込みました。

まだ、完全にお湯は溜まっていませんが、湯船に横たわるように身体を縮め、湯舟に浸かった気分を味わい、今度は湯船に浸かったまんま頭だけを出して二倍速の早さで手を動かしシャンプーを、湯船から出つつお湯をかぶり石鹸を身体に塗りたくる、石鹸をタオルに持ち替え、これまた二倍速で身体を洗う、お湯をかぶって石鹸を流し、そのまま風呂を出て、全裸のまま緑のタヌキに飛びつき蓋を開けました。きっかり4分でした。もうほとんど「底抜け脱線ゲーム」です。

身体を拭いてパンツをはいてソバをすすっていると今度は「ピッーピッー」と洗濯終了を告げる音。汁を全て飲む時間も無いまま洗濯物を干しはじめました。しかし、こんなときに限って洗濯物の量が多い。干し終わって、服を着て家を出たのがきっかり30分。間にあったーって何かを成し遂げた達成感を感じつつも、なんでこんなときに洗濯機まで回しちゃったんだろうと非常に複雑な気分になりました。

まあ、つまり段取りと二倍速です。