留置所日記03「素敵な個室」

警察署に着くと、まず財布や時計、鞄など所持品を預ける事になる。

そしてベルトと革靴の靴紐も。

「自殺防止なのでね。」と。

へぇ~、自殺しようとする人おるんやね。

まあ、確かに手錠かけられたら相当ショックばい。

そうすると徐々に事の重大さに気づいてきたり、後悔したり…。

でも、この時まだ私は立派な酔っ払い。あ~あ…と思いながらも、なるようにしかならんかと開き直り。

「今晩は事情聴取になりませんので、ゆっくり寝てアルコール抜いて。」

そりゃそうやろね。酔っ払いから話聞いてもしょうがないか。

警察署の階段を4階まで上がっていく。

そこには鉄格子のはまった部屋が6室並んどった。

ここが留置所か…ここで、やっと手錠を外される。

一番左の檻の中に入れられカシャンと鍵をかけられる。これで自力で外に出ることはできんなってしもうた。

広さ三畳トイレ付き、敷布団と毛布が一枚ずつ。

ちなみにトイレはしゃがんでも外から上半身が見える大きな窓付き。

これが私に与えられた素敵な個室。

ごろりと転がり、明日からのことを心配しつつも深い眠りにつく。

ちなみにその頃、Nちゃんは事情聴取。

私が飲んだ酒量を聞かれ「ビール1杯と電気ブラン3杯」と。(酒の量が情状酌量の余地につながるのかどうかわからんけど、とりあえず少なめに言うNちゃんであった)

そして結局Nちゃんの事情聴取が終わったのが、11時半。

一人部屋で待たされていた彼氏は空手の有段者。電話で事情を聞いた彼はNちゃんの部屋で一人暴れまくり。

襖に穴を開け、レコードプレーヤーを蹴たくって、一枚のLPレコードを割った。

割れたレコードは久保田利伸の「Missing」。何かを暗示していた…。南無…。